ベルギーでチョコレート作り体験。子どもが学ぶカカオの世界とベルギーの食文化
チョコレート大国ベルギーでの特別な体験
ベルギーは、世界有数のチョコレート大国として知られています。街を歩けば、洗練されたチョコレートショップが並び、その香りは訪れる人々を魅了します。子連れでのベルギー旅行において、この国の豊かな食文化に触れる体験として、チョコレート作りは大変魅力的な選択肢の一つと考えられます。単に美味しいチョコレートを味わうだけでなく、どのように作られているのか、その背景にはどのような歴史や文化があるのかを学ぶことは、子どもたちにとって貴重な異文化体験となるでしょう。
私たちが訪れたのは、ブリュッセルの旧市街地からほど近い場所にある、体験型ワークショップを開催しているチョコレート工房です。数ある工房の中からここを選んだのは、子ども向けのプログラムがあり、少人数制で丁寧に教えてもらえるという評判を聞いたからです。予約は数週間前に工房のウェブサイトからオンラインで行いました。参加費用は大人〇〇ユーロ、子ども(〇~〇歳)〇〇ユーロでした。所要時間は約1時間半で、年齢制限は特に設けられていませんでしたが、小さすぎる子どもには少し難しい作業があるかもしれません。
体験を通してカカオの世界に触れる
ワークショップは、まずベルギーチョコレートの歴史とカカオについて学ぶことから始まりました。ガイドの方が、カカオ豆の産地や、それがどのようにしてチョコレートになるのかを、図や実際のカカオ豆を見せながら分かりやすく説明してくださいます。子どもたちは、普段食べているチョコレートの原料が、遠い国で育つ植物の実であることに驚いた様子でした。
次に、いよいよ実際のチョコレート作りに入ります。既に溶かされたチョコレートを使い、型に流し込んだり、ナッツやドライフルーツで飾り付けをしたりする作業です。子どもたちは、真っ白なエプロンと帽子を借りて、まるで本物の職人になったかのように真剣な表情で取り組んでいました。特に、チョコレートが固まる前に素早く作業を進める必要があり、指先に意識を集中させる様子が見られました。
私の息子(〇歳)は、最初こそ少し戸惑っていましたが、講師の方が優しく声をかけてくださると、すぐに夢中になりました。特に、好きなように飾り付けができる工程では、目を輝かせながら様々なトッピングを選んでいました。娘(〇歳)は、少し緊張気味でしたが、講師の方の手元をよく観察し、丁寧に作業を進めていました。チョコレートの甘い香りに包まれながら、親子で協力して作業を進める時間は、旅の素敵な思い出となりました。
体験が子どもにもたらした学びと成長
このチョコレート作り体験は、子どもたちにとって多くの学びをもたらしました。まず、チョコレートという身近な食べ物が、どのような工程を経て作られるのかを知ったことです。カカオ豆という原料から始まり、発酵、焙煎、精錬といった過程を経て滑らかなチョコレートになるという話は、食べ物が目の前に並ぶまでの「見えない旅」について考えるきっかけになったようです。これは、食への関心を深め、感謝の気持ちを育む上で重要な学びであったと感じています。
また、手作業の楽しさや難しさを体感したことも大きな収穫です。チョコレートは温度管理が非常に重要であり、適切な温度で扱わないと綺麗に固まらないことや、早く固まってしまう前に手際よく作業を進める必要があることを学びました。飾り付けでは、自分の想像力を働かせ、オリジナリティあふれる作品を作り出す創造性が養われたでしょう。完成したチョコレートを持ち帰る際には、自分たちの手で作ったものに対する達成感と喜びで顔が輝いていました。
この体験はまた、異文化への理解を深める機会でもありました。ベルギーがなぜチョコレートで有名なのか、チョコレートが単なるお菓子ではなく、文化の一部として大切にされていることなどを肌で感じたことは、彼らの世界観を広げることに繋がったと考えられます。帰国後、スーパーマーケットでチョコレートを見かけるたびに、「これはカカオ豆からできてるんだよね」「ベルギーのチョコレートは特別なんだよ」と話すようになり、旅の体験が彼らの日常に根付いていることを実感しています。
親として感じたこと、そして子連れでの注意点
親として、子どもたちが五感をフルに使って異文化に触れる機会を提供できたことを嬉しく思います。単に観光名所を巡るだけでは得られない、その土地の文化や生活に根ざした体験は、子どもの心に深く刻まれるようです。今回のチョコレート作り体験は、子どもたちの知的好奇心を刺激し、手先の器用さを養い、そして達成感を得るという、教育的な側面も非常に大きいと感じました。
子連れで体験に参加する際の注意点としては、やはり子どもの集中力や体力に合わせて計画を立てることが重要です。ワークショップの所要時間を確認し、子どもの年齢に合った内容であるか事前に調べることが大切です。また、チョコレートを扱うため、汚れても良い服装で行くか、エプロンが用意されているか確認しておくと安心です。小さな子どもが飽きてしまわないよう、時々声をかけたり、休憩を挟んだりする工夫も必要かもしれません。
工房によっては、アレルギー対応が可能かどうかも事前に問い合わせておくと良いでしょう。持ち帰るチョコレートは溶けやすいので、保冷バッグなどを用意していくと便利です。
まとめ
ベルギーでのチョコレート作り体験は、子どもたちにとって甘く楽しい思い出であると同時に、カカオの世界、手仕事の価値、そしてベルギーの豊かな食文化について深く学ぶことができる貴重な機会となりました。五感を使い、自らの手で何かを作り出す経験は、子どもの知性と感性を刺激し、成長を促します。
子連れ海外旅行において、その国の「食」にまつわる体験は、子どもが興味を持ちやすく、文化への理解を深める第一歩として非常に有効です。ベルギーを訪れる際には、ぜひチョコレート作り体験を旅のプランに加えてみてはいかがでしょうか。きっと、子どもたちの心に深く刻まれる、忘れられない学びの時間となるはずです。