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ベトナム・ホイアンでランタン作り体験。子どもが学ぶ伝統工芸と光の文化

Tags: ベトナム, ホイアン, ランタン作り, 伝統工芸, 異文化体験

ホイアンの光に魅せられて:家族で挑むランタン作り

ベトナム中部に位置する古都ホイアンは、パステルカラーの古い建物と、夕暮れ時に灯される色とりどりのランタンが織りなす幻想的な風景で知られています。この街の象徴ともいえるランタンは、単なる装飾ではなく、ホイアンの歴史や人々の生活、そして特別な日を彩る文化の一部です。

私たちは、子どもにこの美しい街の文化をより深く体験してほしいと考え、数ある異文化体験の中からランタン作りを選びました。手先の作業を通じて集中力を養い、伝統工芸に触れること、そしてホイアンの光の文化に込められた意味を感じ取ることが、この体験の目的でした。

ランタン作りの体験場所とプロセス

ホイアン旧市街には、多くのランタン工房があり、観光客向けの体験教室を開催しています。ほとんどの工房は予約なしでも参加できますが、特に人気の工房や確実な参加を希望する場合は、事前にオンラインや電話で予約することをおすすめします。所要時間は約1時間から1時間半、費用は一人あたり10万ドンから20万ドン程度(約500円〜1000円、2023年時点の目安)で、作るランタンのサイズや種類によって異なります。子連れの場合、小さな子どもでも扱いやすいサイズのランタンを選ぶと良いでしょう。

私たちが訪れた工房では、まずランタンの骨組みとなる竹ひごや、色とりどりのシルク生地が並べられていました。職人さんが英語と簡単な日本語を交えながら、ランタンの歴史や作り方の手順を説明してくださいます。

体験のプロセスはシンプルですが、手先の正確さが求められます。

  1. 骨組みの組み立て: 用意された竹ひごを、職人さんの指示に従って組み立てます。円形や六角形など、ランタンの形に合わせてひごを固定していく作業です。
  2. 生地選び: 豊富な色のシルク生地の中から、好きな色や柄を選びます。子どもたちはこの生地選びが特に楽しそうでした。
  3. 生地貼り: 骨組みに合わせてカットされたシルク生地を、ボンドを使って竹ひごに貼り付けていきます。たるまないように、しかし引っ張りすぎないように注意が必要です。
  4. 装飾: 最後に、紐やフリンジなどを付けて飾り付けをします。

子どもの小さな手とランタンの光

私たちの5歳と7歳の子どもは、最初は少し戸惑っていましたが、色とりどりの生地を前にすると目が輝き始めました。竹ひごを組み合わせる作業では、特に5歳の子どもが苦戦していましたが、職人さんや私が優しくサポートすると、諦めずに挑戦していました。

生地を骨組みに貼る工程では、選んだ色がランタンの形になっていく様子に喜びを感じていたようです。ボンドの加減や、生地をピンと張るのが難しく、時には失敗することもありましたが、やり直しながら少しずつ形になっていきました。

一番印象的だったのは、完成したランタンに電球を入れて明かりを灯した瞬間です。自分たちで作ったランタンが、温かい光を放つ様子を見て、子どもたちは「わー!」と歓声を上げました。日中に行った体験でしたが、暗くなったホイアンの街並みを想像し、「夜に見たいね」と話していました。

工房には他の国の観光客も参加しており、片言の英語や身振り手振りでお互いのランタンを見せ合う場面も見られました。異なる文化を持つ人々が、一つのものを作る体験を共有している様子は、私たち親にとっても心に残る光景でした。

ランタン作りが子どもにもたらした学び

このランタン作り体験は、子どもたちにいくつかの重要な学びをもたらしてくれたと感じています。

まず、手仕事の楽しさと難しさです。器用さや集中力が求められる作業を通じて、ものを完成させるための根気や、手順を追うことの大切さを学びました。失敗を恐れずにやり直す経験も、小さな自信につながったようです。

次に、伝統工芸への理解です。ホイアンの街を彩る美しいランタンが、機械ではなく人の手で作られていることを知ることで、伝統的な技術やそれに携わる人々への敬意が芽生えたように感じます。職人さんの熟練した手つきを間近で見ることも、良い刺激となりました。

そして、ホイアンの光の文化への気づきです。ランタンが祭りや特別な日に使われること、幸福や平和の願いが込められていることを聞くことで、単なる観光名所としてのホイアンだけでなく、街の文化や人々の想いに触れることができました。自分たちが作ったランタンに光が灯った時の感動は、この文化を感覚的に理解する助けになったと思います。

親として感じたこと、子連れでの注意点

親として、この体験を選んで本当に良かったと感じています。子どもたちが自らの手で何かを作り上げる喜びを体験し、それが異文化理解の一歩となる過程を見守ることができました。ホイアンの街を歩く際も、以前は漠然と見ていたランタンに、自分たちの体験が重なり、より深く街並みを感じられるようになりました。

子連れでランタン作り体験に参加する際の注意点としては、以下の点が挙げられます。

まとめ

ベトナム・ホイアンでのランタン作り体験は、単なるモノ作りを超え、子どもにとって手仕事の学び、伝統文化への触れ、そして街の光に込められた意味を知る貴重な機会となりました。自分たちが作ったランタンがホイアンの美しい風景の一部となることを想像することは、異文化に触れることの楽しさと奥深さを体感する経験だったと思います。ホイアンを訪れる際には、ご家族でランタン作り体験を計画されてみてはいかがでしょうか。